リスキル 291A 成長性を精査

reskill-291A 企業分析
reskill-291A

企業概要

リスキル(291A)は社会人向けの人材育成を中核とする教育サービス企業です。法人顧客に、ビジネス研修やITトレーニング、eラーニングを明瞭価格で提供するEC型プラットフォームを運営し、人材育成コンサルティングやHRテック領域(タレントマネジメントの可視化支援など)も展開しています。主力ブランドは「リスキル」とIT人材育成の「リスキルテクノロジー」で、リーダーシップ、コミュニケーション、DX・AI、プログラミング等の研修を全国で提供しています。

財務状況

財務状況
財務状況

直近期の財務は極めて健全です。2025年3月末の総資産は17.61億円、株主資本14.10億円、自己資本比率80.2%でした。2025年6月末には総資産23.92億円、株主資本17.84億円、現金及び預金16.08億円へ拡大しています。有利子負債は開示上ゼロで、実質無借金体質です。

主要指標の概況

  • 自己資本比率 2023年54.3% → 2024年74.3% → 2025年80.2% → 2025年6月74.9%
  • ROE 2025年33.5%前後、予想ベース26.1%
  • ROA 2025年26.9%前後、予想ベース19.6%

貸借対照表の要点

  • 現金及び預金は1年で約3億円増加し16.08億円へ。事業拡大とともに安全余裕が拡大しています。
  • 利益剰余金は2025年3月9.07億円から2025年6月13.29億円へ増加。高収益の積み上がりが続いています。
  • 資本剰余金は2025年3月4.54億円で厚みあり。自己株取得の柔軟性を確保しています。

資本構成の評価

  • 時価総額約69.9億円、現金16.1億円を差し引いた企業価値は約53.8億円です。実質ネットキャッシュのため財務レバレッジ依存は極小で、景気後退局面でも耐性が高い構造です。

キャッシュフローと運転資本

キャッシュフロー
キャッシュフロー

2025年3月期キャッシュフロー
・営業CF 5.52億円
・投資CF マイナス1.06億円
・財務CF プラス2.78億円
・フリーCF 4.46億円
・期末現金等 14.62億円

分解分析

  • 営業CFは売上の伸びと高い営業利益率を素直に反映し、OCFマージンは約28%と厚い水準です。
  • 投資CFは控えめで、資本効率の良い成長投資にとどまっています。
  • 財務CFのプラスは資本政策の効果で、手元資金の積み増しが進みました。

運転資本

  • 2026年3月期1Qの売上債権498百万円、棚卸資産3百万円、仕入債務160百万円、運転資本341百万円。回転期間は売上債権0.66年、棚卸資産0.06年、仕入債務0.51年、運転資本0.75年です。SaaSや研修型収益の特性上、売上債権の管理が肝ですが、棚卸圧力が極小で資金効率は良好です。

フリーキャッシュフローと将来予測

  • 2025年のFCFは4.46億円でFCFマージン約23%でした。
  • 2026年は会社計画ベースで売上23.83億円、OCFマージンを25〜28%と仮定、設備投資を軽微と見てFCFは概ね5.5〜6.5億円のレンジを見込みます。

収益性と効率性

収益性
収益性

利益率の推移

  • 売上総利益率は2023年65.9%前後、2024年63.1%前後、2025年64.9%前後で高位安定です。
  • 営業利益率は2023年24.29% → 2024年27.12% → 2025年34.89%へ段階的に改善しています。
  • 当期純利益率は2025年で約24.2%と極めて厚い水準です。

資本効率

  • ROEは2025年33.5%前後と高水準。資本増強後の予想値は26.1%ですが、依然として優良です。
  • ROAは2025年26.9%前後。現金厚めでも稼ぐ力が勝っています。
  • EVに対する収益力はEV/EBIT約7.9倍、EV/売上約2.75倍と割高感は限定的です。

事業リスク

事業リスク
事業リスク

概況

  • 小型株ならではの流動性リスクがあり、短期的な値動きは大きくなりやすいです。直近出来高は1万株規模の日も見られます。
  • 配当はゼロで、株主還元は主に自己株式の取得に依存しています。買付ペースが想定より鈍化した場合の需給悪化には注意が必要です。
  • 会社計画が保守的な一方、四半期の変動が大きく、進捗に対する市場期待が先行すると失望反応も起こり得ます。

財務リスクの定量

  • 有利子負債ゼロ、自己資本比率約75〜80%で債務耐性は極めて高いです。
  • 運転資本回転期間は0.75年で、売上債権の管理を緩めるとキャッシュ創出力が毀損する懸念があります。

将来の成長

成長戦略
成長戦略

会社計画と上振れ余地

2026年3月期の会社計画は売上23.83億円、営業利益7.16億円です。1Q実績は売上13.6億円、経常利益6.46億円で、経常利益は通期計画の約90%に達しています。計画の上方修正余地が意識されます。

新規投資と収益性

投資CFが小さく、ソフト投資中心のモデルとみられます。スケールに応じた営業レバレッジ効果が収益率の押し上げに寄与する可能性が高いです。

成長シナリオ

  • ベースシナリオ 売上23.8〜25.0億円、営業利益7.2〜8.0億円、FCF5.5〜6.0億円
  • 上振れシナリオ 売上26億円台、営業利益8.5〜9.0億円、FCF6.0〜6.5億円
  • 下振れシナリオ 四半期偏重解消で進捗が平準化、売上23億円台、営業利益6.5〜7.0億円

まとめ

まとめ
まとめ

私ならこうする

短期は需給とテクニカルを尊重しつつ、押し目でコツコツ拾います。中期はFCFの厚みと自己株買いに乗る発想です。1Qの進捗が極端に良いので、過度な期待での急騰には追いかけず、25日移動平均線付近からの下値固めを待って分割で買い増します。上方修正や自己株の進捗が明確に出たタイミングでウェイトを上げます。

投資推奨

  • 短期投資 6/10
  • 長期投資 8/10

投資判断の根拠

  • 営業利益率約35%とFCFマージン約23%で収益と現金創出力が両立
  • 実質無借金で自己資本比率約75〜80%の堅固な財務
  • 1Q時点で経常利益進捗約90%と会社計画に上振れ余地

リスク要因

  • 小型株ゆえの流動性低下とボラティリティ上昇
  • 会社計画と実績の乖離に伴う期待先行と反動安

投資タイミング

  • 買い時 3,300円前後の押し目と25日線回復時が狙い目。5日線と25日線のデッドクロス解消を確認してからの順張りも有効です。
  • 売り時 予想PERが18倍前後に接近する局面や、上方修正材料出尽くし後の高値波乱で一部利益確定。テクニカルでは直近高値を明確に更新できず失速した場合は機動的に引き下がります。

参考URL


投資にはリスクが伴います。本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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