企業概要
マテリアルグループ(156A)はPRコンサルティングを軸に、デジタルマーケティング支援とSaaS型PRプラットフォームを組み合わせた統合コミュニケーションサービスを提供しています。戦略立案からメディア露出、SNS運用、効果測定までワンストップで支援する点が強みで、契約の約6割が月額リテイナーです。生成AIを活用したリリース自動生成やモニタリング機能を拡充し、平均単価を引き上げています。従業員数は約300名、M&Aと新卒採用を併用して人材ポートフォリオを厚くし、クライアント業界の多層化を進めています。
財務状況

2025年8月期3Q累計で総資産は32.8億円(前期末比+0.6%)、自己資本比率は62.7%と健全です。有利子負債は6.1億円、D/Eレシオは0.14倍と低レバレッジ。手元現預金9.17億円に対し営業キャッシュフローは黒字を維持しており、株主還元とM&Aを同時並行で進められる余力があります。無形固定資産が小さく減損リスクは限定的で、軽資産経営を徹底しています。
貸借対照表の推移
- 流動資産:18.0→20.5→19.6億円と推移しキャッシュ比率を高水準で維持
- 有形固定資産:1.8億円と小規模で設備負担は軽微
- 利益剰余金:前年比+2.3億円で内部留保を積み増し
- 長期借入金:1.1億円減少し金利負担を圧縮
財務健全性指標
指標 | 2025/8 3Q累計 | 目安 | 評価 |
---|---|---|---|
自己資本比率 | 62.7% | 40%以上 | 優良 |
D/Eレシオ | 0.14倍 | 1倍以下 | 低リスク |
インタレストカバレッジ | 25.6倍 | 10倍以上 | 高水準 |
キャッシュフローと運転資本

区分 | 2024/8実績 | 2025/8 2Q累計 | コメント |
営業CF | 9.87億円 | 2.17億円 | 期初に販管費先行計上も黒字維持 |
投資CF | ▲2.11億円 | ▲0.13億円 | SaaS開発中心で抑制的 |
フリーCF | 7.76億円 | 2.04億円 | 通年でも黒字見込み |
運転資本回転日数は約75日と同業平均(約90日)より短く、売掛金回収効率が高い点が強みです。フリーCFは年間4〜5億円を確保できる見通しで、株主還元と成長投資を両立できる財務体質です。
収益性と効率性

指標 | 2025/8 3Q累計 | 前年同期 | 評価 |
売上総利益率 | 60.5% | 59.7% | 改善 |
営業利益率 | 16.2% | 15.3% | 高水準 |
ROE | 31.1% | 30.5% | 優秀 |
ROA | 20.2% | 19.8% | 優秀 |
セグメント別収益性
セグメント | 売上高 | 売上YoY | 営業利益率 |
PRコンサルティング | 45.2億円 | +13.2% | 23.8% |
デジタルマーケティング | 5.03億円 | +23.0% | 11.4% |
PRプラットフォーム | 2.57億円 | +1.4% | ▲7.4% |
プラットフォーム事業は赤字が続きますが、有料AI機能の寄与で2026年には黒字転換が見込まれます。
業界動向

国内PR市場はデジタルシフトを背景に年率約6%で拡大中。広告費全体に占めるPR比率は米国約60%に対し日本は20%弱と伸び代が大きいです。生成AIやデータドリブンPRのニーズ拡大で、同社のSaaSが提供する分析・自動化ツールが競争力を発揮しやすい環境にあります。資金余力のあるマテリアルグループは、活発化する業界再編で買収側に回れる立場です。
事業リスク

- 財務リスク:ロックアップ解除後の大株主売却による株価変動
- 人的リスク:キーパーソン離職による大型案件失注
- 景気リスク:広告費サイクルに連動する景気感応度
将来の成長

会社は2027年8月期までに売上100億円、営業利益率18%を目指す中期計画を据え置き。SaaS ARRが年率40%で25億円規模へ成長すれば、営業利益を年間3億円押し上げられるポテンシャルがあります。過去3年平均ROIC14%と資本効率が高く、今後もFCFを原資に自社株買いとM&Aを柔軟に実行して株主価値を最大化するとみられます。
まとめ

私ならこうする
現時点の株価は771円(2025年7月14日終値)。予想PERは11.5倍と過去レンジ下限付近に位置しています。短期では25日移動平均線(約715円)まで調整した押し目を待って打診買いし、7月下旬の決算説明会で示されるSaaS黒字化ロードマップや追加株主還元策を材料にリバウンドを狙います。長期ではプラットフォーム事業が黒字化しARR成長が定常化する2026年2Q(2026年5〜7月)のタイミングでの買い増しが有効と判断します。
投資推奨
- 短期投資(1か月以内):6/10
- 長期投資(1年以上):8/10
投資判断の根拠
- 自己資本比率6割超・低レバレッジで財務余力が十分
- 高採算コンサル事業とSaaS ARR拡大による利益成長ポテンシャル
- 業界平均を下回るPER11.5倍と依然割安
リスク要因
- キーパーソン流出による大型案件の失注
- プラットフォーム黒字化遅延による評価修正
投資タイミング
- 買い時:株価が25日線(715円前後)まで調整した局面
- 売り時:PERが20倍を超え、自己資本比率が50%を下回るなど財務悪化が顕在化したとき
参考サイト
投資にはリスクが伴います。本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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