1. 企業概要
豆蔵デジタルホールディングス(証券コード:202A)は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するITコンサルティング会社です。DXとは、ITやデジタル技術を活用して業務の効率化やビジネスの変革を行う取り組みのことであり、たとえば紙の書類をクラウドに置き換える、AIを活用して分析業務を自動化するなどの事例があります。
同社は、大企業向けの業務システム構築や製造業のスマートファクトリー化、AIを用いた分析ツールの開発、クラウド環境への移行支援など、広範囲なDX支援を実施しています。
2024年6月に東証グロース市場へ上場し、以後はグループ会社の再編や子会社の吸収合併などを進め、経営の効率化を図っています。なお、AIやクラウド技術に特化した社内育成制度については明確な公開情報がなく、今後の取組みに注目が集まっています。
ROE50%以上、配当利回り5%以上という高い資本効率と株主還元を両立しており、投資家からも強い関心を集める銘柄です。
2. 財務状況

財務状況
2025年3月期第3四半期において、総資産は39.15億円、自己資本は29.23億円といずれも前期比で増加。利益剰余金も27.60億円と順調に蓄積されています。
項目 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期(第3Q) |
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総資産 | 46.14億円 | 35.43億円 | 39.15億円 |
自己資本 | 33.90億円 | 22.62億円 | 29.23億円 |
利益剰余金 | 32.89億円 | 21.61億円 | 27.60億円 |
自己資本比率 | 73.5% | 63.8% | 74.6% |
ROE | 32.54% | 51.28% | 46.74%(予想) |
ROA | 23.91% | 32.73% | 34.89%(予想) |
自己資本比率74.6%、無借金経営を維持しており、財務の健全性は極めて高いです。ROEとROAも業界内で非常に高水準であり、資本・資産の活用効率が際立っています。
3. キャッシュフローと運転資本

キャッシュフロー
以下は、直近3期のキャッシュフロー概要です。
区分 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期(第2Q) |
営業キャッシュフロー | 12.41億円 | 11.55億円 | 7.57億円 |
投資キャッシュフロー | ▲15.45億円 | 19.22億円 | ▲0.91億円 |
財務キャッシュフロー | ▲1.26億円 | ▲22.88億円 | ▲2.87億円 |
フリーキャッシュフロー | ▲3.04億円 | 3.08億円 | 6.66億円 |
2024年3月期では、営業活動によるキャッシュフローが11.55億円の黒字で安定しており、投資活動で資金回収も実現。財務活動では配当金の支払いなどによるマイナスがありますが、全体として資金繰りに余裕があります。
現金残高は13.8億円で、運転資本の回転効率も良好。売上債権の早期回収や支払管理においても優れた運用がなされています。
4. 収益性と効率性

収益性
以下は、主要な利益率の推移です。
指標 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期(予想) |
売上総利益率 | 32.5% | 33.2% | 32.0% |
営業利益率 | 17.6% | 18.8% | 19.6% |
純利益率 | 12.4% | 12.9% | 13.0% |
収益性は一貫して高く、利益率が年々改善されています。ROE・ROAの高さも、効率的な経営を裏付けています。
セグメント別業績は未開示ですが、四半期ごとの安定した推移から、収益源の多様性と安定感がうかがえます。
5. 業界動向

業界動向
ITコンサルティング業界は、国のDX政策や企業のIT化需要を背景に、今後も拡大が続く分野です。
豆蔵デジタルは、スマートファクトリーや金融機関向けシステム刷新の領域で実績があり、中堅ながら高い専門性と柔軟な対応力で差別化を図っています。中小企業向けのコストを抑えたソリューションなど、顧客密着型の提案力も強みです。
6. 事業リスク

事業リスク
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顧客依存の偏り:特定顧客に依存した構造は、業績変動リスクにつながります。
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人材不足の継続:優秀なエンジニアの確保・定着が業績成長の鍵です。
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配当性向の高さ:高配当が継続されることで、将来の内部留保が制限される可能性もあります。
ただし現時点では財務体質が強固で、深刻な懸念材料は見られません。
7. 将来の成長戦略

成長戦略
2025年3月期予想では、売上高105億円(前年比+10.1%)、営業利益20.7億円(+15.1%)と二桁成長を見込んでいます。
今後は、再編を通じた効率化、M&A、新規事業開発をバランスよく進めることで、中長期の成長が継続される可能性が高いと考えられます。
8. 私はこのように考えます
ここまで収益性と配当の両立ができている企業は希少です。上場は2024年ですが、グループとしての長い歴史と実績がその安定感の裏付けとなっています。
私なら、短期的な株価上昇時には一部を利確しつつ、基本は長期保有で資産の成長を狙います。仮に株価が下がっても、買い増しの好機と捉える戦略が有効でしょう。
9. 投資判断まとめ

まとめ
投資推奨スコア
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短期投資(1か月以内):8/10
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長期投資(1年以上):10/10
投資判断の根拠
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ROE46.7%、ROA34.9%の高い資本効率
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PER13.8倍、配当利回り5%以上と割安感
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無借金・高自己資本比率による財務安定性
リスク要因
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高配当による将来的な資金制約の可能性
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特定顧客や人材への依存度
投資タイミング
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買い時:PERが14倍未満で、配当利回りが5%以上の現状
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売り時:PERが20倍を超えたり、業績に明確な減速が見られた場合
「投資にはリスクが伴います。本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。」
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