ハンモック(173A) 財務健全な中小企業向けDX支援の雄

ハンモック(173A) 企業分析
ハンモック(173A)

企業概要

ハンモック(173A)は、業務のデジタル化を支援する国内のソフトウェア企業で、IT資産管理、情報セキュリティ、営業支援など、多岐にわたるソリューションを提供しています。これらの製品はすべて自社開発であり、機能面の柔軟性とサポート体制の充実が大きな強みです。主に中堅・中小企業を対象とした販売戦略を採っており、地域販売代理店との連携により安定した導入実績を誇ります。また、導入後も継続的なバージョンアップとユーザーサポートを提供することで、ストック型収益の基盤を確立。2025年3月期時点では、契約継続率は90%を超えており、顧客との強固な関係性が築かれていることがうかがえます。

財務状況

財務状況

財務状況

2025年3月期決算の主要数値は以下のとおりです。

項目 金額 前期比
売上高 47億700万円 +9.9%
営業利益 7億9,100万円 +18.0%
当期純利益 6億1,800万円 -4.6%
現預金残高 31億円
有利子負債 0円
自己資本比率 82.7%
流動比率 561%
固定比率 17.6%

減益の主因は、税効果の反映や一時的な販管費の増加が挙げられます。財務面では極めて健全な構造を維持しており、短期・長期いずれの資金繰りにも懸念はありません。また、自己資本に占める利益剰余金の比率も高く、内部留保の活用余地が大きい点も評価できます。

キャッシュフローと運転資本

キャッシュフロー

キャッシュフロー

キャッシュフローの状況は以下のとおりです。

区分 金額 内容・備考
営業キャッシュフロー +6.2億円 本業からの安定収益を反映
投資キャッシュフロー -3.4億円 ソフトウェア開発・システム更新などの設備投資支出
財務キャッシュフロー -2.2億円 配当金および自己株式取得による資金流出
フリーキャッシュフロー +2.8億円 実質的な余剰キャッシュ

運転資本においては、売上債権と買掛金のバランスが良好で、キャッシュコンバージョンサイクルも短く効率的です。資産の大部分が流動性の高い現金および売上債権で構成されており、財務戦略においても柔軟な対応が可能です。

収益性と効率性

収益性

収益性

2025年3月期における主な収益性指標と資本効率指標は以下の通りです。

指標 数値 コメント
売上総利益率 70.3% 高水準であり、利益率の高さを示している
営業利益率 16.8% 優れた収益性。固定費吸収力が高い
純利益率 13.1% 最終利益としても十分な水準
ROE(自己資本利益率) 22.96% 自己資本に対して高いリターンを実現
ROA(総資産利益率) 10.2% 資産全体に対する効率的な利益創出
ROIC(投下資本利益率) 高水準 正確な数値は非開示だが、ROEとROAから優秀と推測

主要セグメントであるIT資産管理ソリューションは、長年の製品改善によって競合との差別化に成功しており、営業支援SFAツールもコロナ後の営業体制見直しの流れを背景に導入が進んでいます。販売チャネルはオンラインと直販のハイブリッドで、顧客ニーズに応じた柔軟な対応が可能となっています。

業界動向

業界動向

業界動向

デジタルトランスフォーメーション(DX)市場は、今後も拡大が予測されており、特に中小企業におけるIT導入が加速する見込みです。サイバーセキュリティ対策の強化も法令順守や取引先要請の高まりを背景に喫緊の課題となっており、ハンモックのセキュリティ製品群のニーズも上昇しています。競合には大手SIerや外資系ソフトベンダーが存在しますが、価格帯や導入のしやすさ、サポート面での優位性から、ハンモックは一定の競争力を維持しています。また、既存ユーザーとの信頼関係を生かしたアップセル・クロスセル戦略が奏功し、LTV(顧客生涯価値)の最大化に成功している点も注目です。

事業リスク

事業リスク

事業リスク

同社の主要リスクは、第一にクラウドベースの新興競合企業との価格競争です。最近では月額課金モデルによる低価格サービスが市場に多数登場しており、顧客の乗り換えリスクも存在します。第二に、エンジニア人材の獲得難とその維持コストの上昇です。高度な技術者の離職が続けば、製品の品質・リリーススピード低下につながる可能性があります。第三に、情報漏洩や脆弱性に起因する信頼失墜リスク。SaaS業界では、1度のセキュリティ事故が業績に致命的な打撃を与える事例も多く、引き続き対策強化が必要です。

将来の成長

成長戦略

成長戦略

2026年3月期の会社計画では、売上高は51.1億円(前年比+8.7%)、純利益は6.26億円(+1.3%)と堅調な成長を見込んでいます。SaaSモデルによる月額課金契約の拡大がベース成長を支え、新たに開発中のAI連携ツールやデータ分析系機能が付加価値を高める役割を果たすと期待されています。加えて、地方自治体や医療分野への新規開拓も進められており、公共・ヘルスケア市場への参入による売上の多角化も図られています。中期的には、積極的なM&A戦略や海外展開を含む収益拡大が視野に入り、成長ポテンシャルは依然として高い状況です。

まとめ

まとめ

まとめ

私ならこうする

現在の1,600円前後の株価は、過去の業績推移と将来見通しを考慮すると割安と判断できます。今後の業績拡大に伴う評価見直しが期待され、長期的な資産形成に向けた分割買い戦略が有効だと考えます。とくに、営業利益率やROEの水準が維持される限り、安定収益と高成長の両立が期待できるため、ポートフォリオの主力候補として検討に値します。

投資推奨

  • 短期投資:7/10
  • 長期投資:9/10

投資判断の根拠

  • 高水準の利益率と安定した成長性
  • 強固な財務基盤と豊富なキャッシュポジション
  • ストック型ビジネスモデルと製品競争力

リスク要因

  • クラウド型低価格競合との価格競争激化
  • 開発人材の不足による製品供給遅延リスク

投資タイミング

  • 買い時:PER 10倍前後・PBR 2.4倍水準は割安水準
  • 売り時:営業利益率が15%を下回る兆候、または製品競争力低下が明確になった場合

投資にはリスクが伴います。本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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