企業概要
デジタルグリッド株式会社(証券コード:350A)は、エネルギー業界のデジタル変革を支援するSaaSプラットフォームを展開する成長著しい企業です。主力となる電力プラットフォーム事業および再エネプラットフォーム事業を通じて、電力市場の取引や需給管理の最適化を実現する高性能なソリューションを提供しています。特に電力小売事業者やアグリゲーター向けのサービスに強みを持ち、再生可能エネルギーとの親和性も高いため、脱炭素社会の実現に向けた重要なプレイヤーとして注目されています。
設立当初からエネルギーテックの領域に注力しており、現在は電力需給の見える化や最適化を図るプラットフォームを構築しています。具体的には、エネルギー取引の自動化や予測アルゴリズム、再エネとの連携を特徴としたSaaS型のソリューションを展開しており、電力の需給調整やコスト削減、脱炭素化の実現に貢献しています。また、2025年5月には第三者割当増資を実施し、資金調達を通じて財務基盤の強化が図られました。
財務状況

財務状況
以下の表に示す通り、2025年1月時点の財務指標は前年に比べて大きく変動しており、成長投資が加速しています。
項目 | 2025年1月実績 | 前年比変化 |
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総資産 | 162億円 | 大きく増加 |
自己資本比率 | 33.4% | 低下傾向 |
有利子負債比率 | 82.8% | 高水準 |
有利子負債 | 44.8億円 | +12億円(前年比) |
株主資本 | 54.1億円 | 増加 |
利益剰余金 | 27.7億円 | 増加 |
ROE | 23% | 高水準 |
ROA | 8.47% | 高水準 |
キャッシュフローと運転資本

キャッシュフロー
以下の表に、2025年7月期第2四半期時点のキャッシュフロー状況を整理します。
指標 | 金額 | 備考 |
営業キャッシュフロー | -14.9億円 | 一時的な赤字と解釈可能 |
フリーキャッシュフロー | -15.5億円 | 営業CFと投資CFの合計 |
財務キャッシュフロー | +12.5億円 | 積極的な資金調達を実施 |
現預金残高 | 36.8億円 | 資金繰りに大きな問題なし |
収益性と効率性

収益性
以下の表に、2024年7月期の主要な収益性指標を整理しました。
指標 | 数値 | 備考 |
売上高 | 35.2億円 | 前年比2倍以上の成長 |
営業利益 | 15.4億円 | 高収益 |
純利益 | 9.7億円 | 安定的な黒字 |
営業利益率 | 43.9% | 極めて高水準 |
ROE | 23% | 自己資本利益率も優秀 |
ROA | 8.47% | 総資産利益率も良好 |
ROIC(予想) | 高水準と予想 | 投下資本に対する高い効率性 |
以下の表にセグメント別の売上および営業利益をまとめました。
セグメント | 売上高 | 前年比増加率 | 営業利益 | 前年比増加率 |
電力PF事業 | 31.7億円 | +104.3% | 21.3億円 | +126.2% |
再エネPF事業 | 1.85億円 | +111% | 0.24億円 | 黒字転換 |
その他の事業 | 1.62億円 | +205.7% | -2.02億円 | 赤字縮小傾向 |
業界動向

業界動向
再生可能エネルギーと電力自由化が進む中、デジタルグリッドのような需給管理や市場取引をデジタルで最適化する企業へのニーズは増加しています。競合としてはエナリスやLooopなどが挙げられますが、同社はプラットフォーム提供という点で一線を画しており、オンリーワンに近いポジションを確立しつつあります。今後の市場拡大と制度変化に応じて、同社の成長余地も大きく広がる見通しです。
事業リスク

事業リスク
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営業CFがマイナスという点は短期的には懸念材料です。
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有利子負債比率が高いことから、金利上昇局面では財務負担が重くなる可能性もあります。
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同社の成長は制度変更や市場の構造改革に依存する部分も大きいため、政策リスクへの対応力も今後の鍵を握ります。
将来の成長

成長戦略
同社は2025年5月に第三者割当増資を実施しており、資金調達面でも柔軟性があります。中期的には、電力PF事業の収益拡大と再エネPFの黒字化が見込まれ、売上・利益ともに年30%以上の成長が期待されます。特に再エネとの連携によるソリューションの拡張は、今後の持続的成長の柱となるでしょう。
まとめ

まとめ
私ならこうする デジタルグリッドは成長性と収益性の両面で非常に魅力的な銘柄です。財務的な健全性には一部懸念が残りますが、それを上回る市場ポテンシャルがあります。私は中長期的に見て買いと判断します。
投資推奨
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短期投資(1か月以内):7/10
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長期投資(1年以上):9/10
投資判断の根拠
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電力PF事業を中心とした高成長
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高い営業利益率とROE・ROA
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オンリーワンの事業モデルと市場の拡大性
リスク要因
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営業CFの赤字継続
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高い有利子負債比率
投資タイミング
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買い時:株価調整局面(直近の急騰後、5,800円前後で押し目形成時)
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売り時:営業CFの黒字化が進まず、増資や借入が繰り返される場合
「投資にはリスクが伴います。本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。」
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