企業概要
カドス・コーポレーションは兵庫県姫路市に本社を置く中堅ゼネコンです。建築請負と自社保有物件の賃貸・開発を二本柱とし、用地仕入れから設計・施工・賃貸・売却までをワンストップで手掛けています。近年は収益性の高い不動産開発へ軸足を移し、少数精鋭80名体制ながら高品質・短工期を実現。2024年7月18日に東証スタンダード市場へ上場し、調達した資金は神戸・大阪圏の収益不動産ポートフォリオ拡大に充てられています。
財務状況

財務指標サマリー
指標 | 数値 | 備考 |
---|---|---|
総資産 | 84億円 | 2024年7月期 |
自己資本 | 41億円 | 2024年7月期 |
自己資本比率 | 48.8% | 改善傾向 |
長期借入金 | 18.4億円 | 前期比12%減 |
D/Eレシオ | 0.45倍 | 同業平均0.8倍未満 |
現預金 | 24.4億円 | 四半期末5.9億円まで減少 |
有利子負債比率 | 26.6% | 2025年4月時点 |
ROE | 9.9% | 予想13.8%、業界平均8%超 |
流動比率 | 170% | 安全圏内 |
インタレストカバレッジ | 28倍 | 安全圏内 |
分析
自己資本比率48.8%、D/Eレシオ0.45倍と健全なバランスシートを維持しています。現預金は潤沢で短期的な資金繰りリスクは限定的ですが、四半期末にかけて18.5億円減少(24.4億円→5.9億円)しました。この減少は①開発用地取得を中心とする投資CF▲7.4億円、②長期借入金返済・配当などによる財務CF▲7.9億円、③運転資本増を伴う営業CF▲3.1億円が重なった結果であり、資金流出要因を継続的にモニタリングする必要があります。
キャッシュフローと運転資本

CFサマリー
期間 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | フリーCF | 棚卸資産 | 備考 |
2024年7月期 | 8.8億円 | ▲0.6億円 | ― | 8.1億円 | ― | 過去最高 |
2025年期2Q累計 | ▲3.2億円 | ▲7.4億円 | ▲7.9億円 | ― | 0.4億円 | 用地取得影響 |
2025年期通期見込 | ― | ― | ― | +3億円程度 | ― | 黒字化へ回復予定 |
分析
2024年期は不動産売却益と前受金増で営業CFが大幅黒字となりましたが、25年期上期は営業CF▲3.1億円に転落しました。投資CF▲7.4億円は開発用地取得が主因、財務CF▲7.9億円は長期借入金返済と配当支出によるもので、三つの負のフローが重なり現金残高が急減しました。棚卸資産は依然小さく、運転資本効率自体は高水準を維持しています。
収益性と効率性

主要指標
指標 | 2024年期 | 2025年期計画 | 備考 |
売上高 | ― | 75億円(+15.8%) | |
売上総利益率 | 19.4% | ― | 前年から改善 |
営業利益率 | 9.8% | 11.6% | |
純利益率 | 6.2% | ― | |
ROE | 9.9% | ― | 建設業平均8%超 |
ROA | 4.8% | ― | |
ROIC | 7.2% | ― | 資本コスト超 |
不動産部門営業利益率 | 31% | ― | 建設部門2.9% |
分析
高採算の不動産部門が全社利益の約80%を稼ぎ、今後も利益成長を牽引する見通しです。計画達成時には営業利益率が11%台へ乗せ、収益体質が一段と強化されます。
業界動向

国内建設業は資材高騰と人手不足で利益率が圧迫される一方、関西エリアは万博関連投資や再開発需要が旺盛です。賃貸住宅市場は金利上昇懸念があるものの、都心近郊の物流・医療施設は空室率が低水準で、同社が得意とする高付加価値物件の需要は底堅い状況です。PER7.4倍、PBR1.03倍は中小上場ゼネコン平均を下回り、バリュエーション面で依然割安感があります。
事業リスク

- 金利上昇 : 開発利回り低下の懸念。
- 不動産価格下落 : 評価損計上・CF悪化の可能性。
- 公共投資縮減 : 建設請負部門の収益変動要因。
将来の成長

2027年までに売上100億円、営業利益率12%を目標としています。具体策は以下のとおりです。
- 神戸・大阪市内で賃貸レジ15棟を新規着工。
- 再エネ対応物流倉庫を開発し需要拡大を取り込む。
- BIMを活用し工期を15%短縮し、建設DXを推進。 IPO資金は用地取得(40%)、省エネ建材・ICT投資(30%)に重点配分され、成長施策の実現可能性は高いと見込まれます。
まとめ

私ならこうする
足元のCF悪化は一時的と判断し、株価調整局面を買いの好機と捉えます。PERは個別不動産株より低水準で、業績上振れ時の評価見直し余地が大きいです。
- 短期投資 : 8/10
- 長期投資 : 9/10
投資判断の根拠
- 不動産セグメントの高利益率と豊富な案件パイプライン。
- 自己資本比率48%、D/E0.45倍と財務余力が大きい。
- PER7倍台、増配方針で株主還元も強化。
リスク要因
- 金利上昇による利回り低下。
- 用地仕入れ過熱による償却前倒し負担。
投資タイミング
- 買い時 : 出来高増を伴う押し目4,500円付近(2025年8月上旬安値)
- 売り時 : PER12倍水準となる7,500円近辺で利益確定を検討
参考サイト
投資にはリスクが伴います。本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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