スター・マイカHD 2975 今買うべきか

スターマイカホールディングス(2975) 企業分析
スターマイカホールディングス(2975)

ハイライト

  • 通期計画は売上678億9500万円 当期純利益41億5900万円の見込みで進捗は良好です。
  • 在庫回転を軸に営業利益率はおおむね10%前後を維持しています。借入は長期化が進み流動性リスクは抑制傾向です。
  • バリュエーションは予想PER約9.6倍 PBR約1.38倍で相対的に割安感が残ります。

企業概要

スター・マイカHDは首都圏中心に中古区分マンションを仕入れてリノベーションを行い、販売と賃貸運用で収益化する不動産会社です。主力のリノベマンション事業に加えて法人向けアドバイザリーとインベストメントを展開します。案件ソーシング力と施工品質、金融機関との関係性を強みとし、在庫の質と回転率を最重要指標として運営しています。2025年11月期は販売消化の着実な進展と借入の長期化により、拡大局面における資金繰りの安定性を高めています。

財務状況

財務状況
財務状況

主要指標を表にまとめます。

指標数値と所見
連結総資産1167億2000万円 2025年8月末
株主資本286億1036万円
有利子負債842億5473万円
自己資本比率24.7% 2019年以降は24〜26%の安定レンジ
現金及び預金26億11百万円
D/Eレシオ約2.9倍 在庫型不動産として許容水準
長期借入金738億6608万円
短期借入金6億5810万円 短期を圧縮し期限を長期化
時価総額約407億円
予想PER約9.6倍
PBR約1.38倍

貸借対照表の推移と着眼点

  • 総資産は2023年949億83百万円から2025年8月に1167億20百万円へ増加 在庫積み上げが主因です。
  • 有利子負債は同期間で691億9百万円から842億54百万円へ増加 期限の長期化で返済負担を平準化しています。
  • 現金は26億11百万円で薄め 在庫と借入が厚い運転構造が特徴です。

財務健全性の評価

  • 自己資本比率は24.7%で安定推移です。
  • D/Eは約2.9倍 在庫の担保価値を背景に事業モデルに適合する水準です。

資本構成の適切性

借入の長期化は在庫保有期間と整合し金利上昇局面における再調達リスクを抑えます。自己資本比率は高くないものの資産の大半が不動産で担保性が見込めるため現在のバランスは妥当と判断します。

キャッシュフローと運転資本

キャッシュフロー
キャッシュフロー

主要キャッシュフローを表で整理します。

営業CF投資CF財務CF
2024年11月期 通期-526.9億円小幅マイナス+532.6億円
2025年11月期 上期-506.7億円-14.0億円+676.5億円

補足 2024年期末の現金等は19.05億円です。

読み解きの要点

  • 仕入れ拡大で営業CFは大幅なマイナスが続いています。
  • 財務CFのプラスで営業CF赤字をカバーする資金循環です。
  • 投資CFのマイナスは限定的で期限長期化と合わせて流動性を確保しています。

運転資本の効率性

在庫回転が収益性の肝となります。販売消化は進捗しており短期借入の圧縮も相まって資金繰りは安定傾向です。市況悪化で販売が鈍化すると営業CF赤字が長期化するため在庫構成と販売計画の精度管理が重要です。

フリーキャッシュフローの見通し

2024年のフリーCFは約マイナス541億円 2025年も上期時点でマイナスが継続しています。期末に向け販売消化が進めば赤字幅の縮小余地はありますが市況次第では継続リスクがあります。

収益性と効率性

収益性
収益性
指標最新値と推移の要点
売上総利益率安定推移 リノベ価値創出で粗利を確保
営業利益率2019年11.28% 2022年12.65% 2024年9.89% 2025年予想10.65%
ROE予想14.43%
ROA予想3.56%
EPS予想122.56円
セグメント概況リノベマンションが大宗 アドバイザリーは年7〜9億円の安定収益 インベストメントは変動大

効率指標はおおむね良好で営業利益率は一桁後半から一割前後でコントロールされています。資本効率はROE14%台と許容水準で、過度なリスクを取らずに収益を積み上げる運営が確認できます。

業界動向

業界動向
業界動向

中古マンション市場は新築価格の高止まりと金利環境の影響で相対的な需要が継続しています。仕入れ競争は激化しており粗利確保には適切なバリューアップと販売チャネル最適化が不可欠です。政策金利の変動は借入コストと投資家需要の双方に波及しやすくボラティリティ要因となります。差別化は施工品質 管理体制 アフターサービスの総合力が鍵です。

事業リスク

事業リスク
事業リスク
リスク概要
営業CF赤字の長期化仕入れ拡大と販売鈍化が同時発生すると資金需要が膨らみます
金利上昇と市況悪化単価下落と回転率低下で利益が圧迫されます
調達環境の悪化借入依存度が高く与信環境の変化に感応します

定量評価の視点

  • 自己資本比率24.7% D/E約2.9倍 ストレス下では在庫評価損による自己資本比率低下に注意が必要です。

継続性の評価

在庫の担保価値と長期資金へのリファイ能力は維持されており短期流動性の急速な悪化リスクは抑制されています。販売計画の確度が継続性の鍵です。

将来の成長

成長戦略
成長戦略
項目数値と所見
通期見通し売上678億9500万円 当期純利益41億5900万円
進捗の目安3Q累計 売上485億36百万円 純利益34億29百万円 達成可能性は十分
成長ドライバー在庫の質と回転率 仕入れ段階の目利き強化

成長シナリオ

  • ベース 在庫回転維持で通期計画を達成します。
  • 強気 販売単価の上振れと回転加速で増益を目指します。
  • 弱気 販売鈍化と借入コスト上昇で計画線を下振れします。

まとめ

まとめ
まとめ

私ならこうする

短期は押し目拾いでコツコツ進めます。直近安値割れに逆指値を置きつつ25日移動平均線の回復を目安に枚数を調整します。中期は営業CFの赤字幅縮小と在庫回転の改善が見えた局面で買い増し 金利上昇が続く局面ではポジションを軽くします。

投資推奨

  • 短期投資 6点中位レンジ
  • 長期投資 7点やや強気

投資判断の根拠

  • 通期見通しの達成可能性が高くPER一桁台後半で割安感があります。
  • 借入の長期化で流動性リスクを抑制しています。
  • 在庫回転維持により営業利益率一割前後を確保できています。

リスク要因

  • 営業CF赤字の長期化
  • 市況悪化による回転率低下と粗利率悪化

投資にはリスクが伴います。本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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