最新決算アップデート
2026年3月期1Q 2025年8月7日発表の第1四半期決算は、売上高1809百万円(前年同期比5.0パーセント減)、営業利益117百万円(34.6パーセント減)、四半期純利益71百万円(32.8パーセント減)でした。売上総利益率は44.9パーセントと前年同期比で約1.3ポイント改善しましたが、販管費の増加により営業利益率は6.5パーセントへ低下しました。低下要因は大型提案に向けた体制強化と新卒採用の先行投資です。
四半期KPIの動向
- 大手企業の四半期契約顧客数は57社です。前年は46社、前四半期は55社でした。
- 新規顧客は7社です。
- 大手顧客のARPAは29.7百万円です。前年は35.9百万円、前四半期は33.3百万円でした。
- クラウドエンジニア等の専門職は402人です。前年は324人、前四半期は359人でした。
企業概要
クラウドインテグレーターのフレクトは SalesforceとAWSを核にクラウドネイティブ開発を行い 顧客のデジタルトランスフォーメーションを企画から運用まで一気通貫で支援します。アジャイルとDevOps文化を基盤に ミッションクリティカル領域を短サイクルでリリースしてきました。Salesforce導入プロジェクト数は国内トップクラスで 累計導入は840社超 うち約2割は海外展開企業です。AWSアドバンストティアサービスパートナー資格を保有し データレイク構築や生成AI連携など先端領域に強みがあります。
過去の成長トレンド
売上高は2019年3月期14.5億円から2025年3月期79.5億円へ約5.5倍 従業員数は120名から560名へ拡大しました。サブスクリプション型保守サービス 運用設計室の継続利用率は96パーセントで 売上の約26パーセントをストック化 大型案件の受注拡大とストック比率の上昇が成長の二本柱です。
財務状況

1Q末の総資産は3955百万円 前期末比5.8パーセント減 自己資本は2802百万円で3.0パーセント増 自己資本比率は70.9パーセントまで上昇しました。現金及び預金は1961百万円 前期末2128百万円から減少 売掛金及び契約資産は1239百万円 前期末1412百万円に対して減少しました。一方 前払費用は268百万円に増加しました。負債は流動負債が694百万円で大幅減 これは未払法人税等と未払消費税等の減少が要因です 長期借入金の返済も進み457百万円となりました。結果としてネットキャッシュの厚みと安全性が高まりました。
財務健全性の評価
流動比率は高水準を維持し 自己資本比率は70パーセント超に改善しました。D Eレシオは低位で財務レバレッジは抑制的です。短期の資金繰りに懸念は見当たりません。
キャッシュフローと運転資本

当第1四半期はキャッシュフロー計算書が作成されていないため 四半期のCF更新は割愛します。運転資本は売掛金と税金関連負債の減少で圧縮方向に進みました。前期までの傾向は営業CFの安定と投資CFの成長投資配分が中心であり この基本線は維持される見込みです。
収益性と効率性

粗利率は44.9パーセントで前年同期から改善しましたが 販管費増により営業利益率は6.5パーセントへ低下しました。前年同期の営業利益率は9.5パーセントでした。年度計画との進捗は 売上高が約18.8パーセント 営業利益が約8.3パーセント 純利益が約8.3パーセントです。2Q以降の増益転換には 売上高の伸長と販管費の吸収が不可欠です。
業界動向

国内SI市場は年率5パーセント台の拡大が続き Salesforce関連は2桁成長が見込まれます。生成AI連携やデータ統合の需要拡大で マルチクラウド人材の争奪が続く見込みです。フレクトはSalesforceコンサルタント資格者とAWS資格者を多数抱え 価格競争に陥らず付加価値提案で差別化できる体制です。
事業リスク

大手顧客のARPAが短期的に低下しており 受注消化のタイミング次第で収益が変動する可能性があります。提案体制強化と採用の前倒しは短期的に販管費を押し上げるため 粗利改善と案件規模拡大での吸収が必須です。
将来の成長

会社計画は通期売上9600百万円 営業利益1429百万円 純利益863百万円を見込みます。AIエージェント AgentforceやData Cloud MuleSoft Okta連携などのマルチクラウド案件を新規獲得しており パイプライン拡大が確認されています。新卒は10月以降に戦力化予定で 後半の収益寄与が見込まれます。
まとめ

フレクトは、2026年3月期1Qで売上・利益ともに減速した一方、粗利率は改善しつつ、人材・体制への先行投資を強めている局面と言えます。
売上高は前年同期比▲5.0%、営業利益は▲34.6%となりましたが、売上総利益率は44.9%と約1.3ポイント改善しており、単価・案件ミックスの質は大きく崩れていないことがうかがえます。営業利益率の低下は、大型提案に向けた体制強化や新卒採用の前倒しによる販管費増が主因です。
一方、財務面では自己資本比率70%超・ネットキャッシュ厚めの状態を維持しており、長期借入金も減少傾向です。大手企業向け四半期契約顧客数は増加を続けており、クラウドエンジニア等の専門職も着実に増員されていることから、マルチクラウド・生成AI領域での成長余地はなお大きいと考えられます。
今後は、
- 2Q以降に売上成長と利益率の両方をどこまで戻せるか
- ARPA低下が一時的な案件構成要因なのか、構造的な単価変化なのか
- 採用・体制強化に見合う案件規模・付加価値をどこまで獲得できるか
といった点が、中期的な成長ストーリーを見極めるうえでの焦点になりそうです。
参考サイト
投資にはリスクが伴います。本記事は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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