企業概要
ハッチ・ワークは月極駐車場とビル管理領域に特化したIoT×SaaS企業です。主力の月極イノベーション事業では、募集・契約・決済をワンストップで完結できるクラウドプラットフォームを提供し、契約件数は国内トップクラスとなっています。ビルディングイノベーション事業では、ビル設備の遠隔監視と保守履歴の可視化をサブスクリプションで展開し、管理コストを削減しながら安全性を高めています。2023年の東証グロース上場後、販管費のコントロールを徹底し、2023年12月期に初めて黒字化を達成。現在は自治体DX案件の受注により公共領域にも販路を拡大しています。
財務状況

項目 | 2024年12月期 | 2025年1Q | 変動・ポイント |
---|---|---|---|
総資産 | 24.3億円 | 25.4億円 | +32%(+1.1億円) |
株主資本 | 7.77億円 | 8.37億円 | +0.60億円 |
自己資本比率 | 32.0% | 32.9% | +0.9pt |
長期借入金 | 1.68億円 | 1.68億円 | 圧縮後水準を維持 |
有利子負債比率 | 67.2% | 53.5% | -13.7ptで財務耐性向上 |
利益剰余金 | 1.31億円 | — | 累損を一掃し黒字化 |
現金及び預金 | 14.7億円 | — | 潤沢なキャッシュ |
長期借入金の圧縮と自己資本比率の改善で財務健全性が向上し、成長投資を内部資金で賄える体質へ移行しています。
貸借対照表主要項目の推移
- 総資産:24.3→25.4億円(25/1Q)
- 株主資本:7.77→8.37億円
- 自己資本比率:32.0→32.9%
- 有利子負債:5.22→4.48億円
財務健全性指標(2025年1Q)
- ネットD/Eレシオ:0.46倍
- インタレストカバレッジ:10倍超(営業CFベース) →当面は内部留保で成長を賄える水準です。
資本構成の適切性
VC比率の低下とともにROEが16.9%→24.2%(予想)へ上昇し、株主利益との整合が取れています。
キャッシュフローと運転資本

キャッシュフローカテゴリ | 金額 | 主因 |
営業CF | 0.21億円 | 本業黒字を維持 |
投資CF | ▲0.56億円 | システム開発投資 |
財務CF | +3.75億円 | 公募増資 |
売上債権回転期間は93日→82日へ短縮し、運転資本の効率性が向上しています。
フリーキャッシュフロー算出と将来予測
指標 | 前提・数値 |
EPS成長率 | 15%想定 |
維持投資 | 0.6億円/年 |
2026年 営業CF | 1.2億円(予想) |
2026年 フリーCF | 0.5億円(予想) |
営業CFの拡大に伴いフリーCFも黒字転換し、追加投資余力が広がる見込みです。
収益性と効率性

指標 | 2024年実績 | 2025年予想 | コメント |
売上総利益率 | 58.2% | 59.2% | 原価最適化でマージン改善 |
営業利益率 | 7.74% | 6.82% | 研究開発費先行で一時的低下 |
純利益率 | 5.5% | 7.4% | 増収と販管費比率低下で増益 |
ROE | 16.9% | 24.2% | 資本効率向上 |
ROA | 5.4% | 8.0% | 資産効率改善 |
ROIC | — | 9.8% | WACC推定7%を上回る |
セグメント別収益性
- 月極イノベーション:売上14.1億円、営業利益率26.1%
- ビルディングイノベーション:売上9.57億円、営業利益率27.3%
管理部門費の吸収が進み、全社利益率を押し上げています。
業界動向

コインパーキング
月極契約市場は依然として紙契約が多く、DX余地が大きい領域です。政府のスマートシティー推進で自治体案件が増加し、2024年の市場規模は前年比+12%へ拡大。競合はパーク24やakippaなどですが、月極契約管理に特化したSaaSを提供するのは同社が先行し、決済APIやID連携のUXで差別化しています。
市場シェアと競争力
月極オンライン契約件数シェア:推定15%(業界2位) ・公共案件シェア:20%超
事業リスク

- 資金調達環境悪化時の増資負担再燃リスク
- 競合によるARPU低下リスク
- 公共案件比率拡大に伴う入札延期リスク
将来の成長

中期経営計画(2025–2027年度)ではSaaS ARRを年率25%で拡大し、月極DXプラットフォームの海外展開を目指します。開発中のAI空車率予測エンジンが市場に浸透すればストック収益が一段と拡大。スマートロック連動の新規事業は2026年度営業黒字化を見込み、追加希薄化を伴わない成長シナリオが現実的です。
まとめ

私ならこうする
短期は押し目を拾い、中期は公共DX需要とストック収益の拡大を見据えてホールドします。四半期ごとに業績が加速しているため、決算発表前の調整局面を狙ってエントリーします。
投資推奨
- 短期投資(1か月以内) 7/10
- 長期投資(1年以上) 8/10
投資判断の根拠
- 月極イノベーション事業の高利益率と2桁成長が継続
- 自己資本比率32%、営業CF黒字で財務余力十分
- ROE・ROICが資本コストを上回り株主価値を創出
リスク要因
- 公共案件比率拡大による入札延期リスク
- 競合SaaSベンダーの価格競争激化
投資タイミング
- 買い時 25年7月以降の2Q決算前、株価調整時(PBR4倍台を維持)
- 売り時 株価がPER40倍超へ過熱し、営業CF成長が鈍化した時期
投資にはリスクが伴います。本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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