2025年4月25日、信越化学工業(4063)は2025年3月期の通期決算を発表しました。本記事では、前期との比較、財務状況の変化、各事業セグメントの動向、そして今後の見通しについて、分かりやすく整理しています。投資判断に役立つよう、要点を丁寧にまとめました。
最新決算のポイント
項目 | 数値 |
---|---|
売上高 | 2兆5612億円(前年比+6.06%) |
純利益 | 5340億2100万円(前年比+2.67%) |
第一四半期見通し | 売上高6100億円、純利益1200億円 |
通期ガイダンス | 売上高2兆6000億円、純利益5500億円(会社予想) |
売上高と純利益は順調に伸び、今期もプラス成長が見込まれています。ただし、純利益の伸び幅はやや鈍化しており注意が必要です。
前回決算との比較
項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 増減率 |
売上高 | 2兆4149億円 | 2兆5612億円 | +6.06% |
営業利益 | 7010億円 | 7421億円 | +5.9% |
経常利益 | 7872億円 | 8205億円 | +4.2% |
純利益 | 5200億円 | 5340億円 | +2.7% |
売上高・各利益ともに増加しましたが、純利益の伸び率は抑制傾向にあります。コスト増や市況変動の影響を慎重に見極める必要があります。
セグメント別業績動向
セグメント | 状況 |
電子材料事業 | 市況回復により堅調な回復傾向 |
生活環境基盤材料事業 | 減少傾向が続き、回復には時間が必要 |
機能材料事業 | 一時縮小も回復の兆しを見せる |
電子材料事業が回復基調にある一方で、生活環境基盤材料事業は依然として厳しい状況にあります。事業ポートフォリオのバランスに注目です。
財務状況の変化
項目 | 数値 |
総資産 | 5兆6366億円(前年比+9.49%) |
株主資本 | 3兆8793億円(前年比+3.63%) |
有利子負債 | 168億円(前年比-30.69%) |
自己資本比率 | 82.7%(前年からさらに改善) |
総資産・株主資本ともに増加し、有利子負債は大幅に減少。自己資本比率も高水準を維持しており、非常に健全な財務状態といえます。
キャッシュフロー状況
営業キャッシュフローは安定してプラスを維持しており、堅調な資金繰りが続いています。投資キャッシュフローは設備投資拡大のためマイナスですが、フリーキャッシュフローは黒字を維持しており、成長投資と株主還元の余力も十分です。
株価と投資指標の動き
指標 | 数値 |
株価 | 4046円(前日比+3.14%) |
PER | 14.85倍 |
PBR | 1.7倍 |
決算発表後、株価は好感され上昇しました。PER・PBRともに過度な割高感はなく、投資対象としてバランスの取れた水準にあります。
総合評価 筆者の考察
信越化学工業は、売上と利益の堅調な成長、強固な財務基盤を維持しており、長期的な安定成長が期待できる企業です。ただし、短期的には純利益の伸び鈍化や一部セグメントの低迷に注意が必要です。押し目買いを基本に、長期目線での投資を推奨します。今後発表される四半期決算の進捗も注視すべきポイントです。
投資推奨
投資期間 | 推奨度 | コメント |
短期(1か月以内) | 6/10 | 市況次第で慎重な対応を推奨 |
長期(1年以上) | 8/10 | 安定成長を狙う長期投資向き |
投資判断の根拠とリスク
投資判断の根拠
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売上・利益が着実に成長
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財務体質が極めて良好
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半導体市場回復による恩恵期待
リスク要因
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半導体市況の急激な悪化リスク
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世界経済や為替変動による影響
投資タイミングの考え方
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株価が3800円付近まで押す局面で分散して買い増しを検討
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半導体市況の改善確認後、追加投資を検討
投資にはリスクが伴います。本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身で行ってください。
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