リガクHD 268A 高収益維持とCF改善を検証

268A リガク 企業分析
268A リガク

投資ハイライト

  • 2024年は営業利益率20.3%まで改善し高収益を維持しています。
  • 営業CF146億円、フリーCF85.5億円で自立した資金循環を確保しています。
  • 自己資本比率46.1%、ネットDEレシオ0.41倍と財務は健全です。

企業概要

リガクHDはX線回折やX線分析を中心とする計測機器の総合メーカーです。半導体工程管理、先端材料の結晶構造解析、二次電池や電子部品の品質評価、製薬の多形解析まで幅広い用途をカバーします。装置販売に加えて消耗品、保守契約、ソフトウエア更新の継続収益を保有し、景気変動耐性のある収益基盤を構築しています。販売は日本、北米、欧州、アジアに展開し、半導体投資や電池関連投資のサイクルが需要を左右します。2024年は原価率改善と販管費の規律により収益性が一段と向上し、資本効率と株主還元の強化が進みました。

財務状況

財務状況

2024年12月期は売上収益907億円、営業利益184億円、当期利益136億円です。2025年12月期計画は売上収益941億円、営業利益181億円、当期利益123億円で、増収横ばいの見通しです。貸借対照表は総資産1775億円、株主資本818億円、現金等280億円、有利子負債616億円で、自己資本比率は46.1%です。のれんは約516億円と大きく、減損管理が重要な論点です。

貸借対照表の推移とポイント

総資産は2021年1433億円から2024年1775億円へ拡大し、株主資本は497億円から818億円へ増加しました。有利子負債は約620億円で安定、現金等は126億円から280億円へ増加し、ネット有利子負債は約336億円まで縮小しています。自己資本の厚みが増したことで金利上昇局面への耐性が高まりました。

財務健全性の計算と解釈

自己資本比率46.1%、有利子負債比率75.3%、ネットDEレシオ0.41倍です。流動性と耐久性のバランスは良好で、短期資金需要に十分対応できます。のれん水準は高いため、収益力の維持が前提となります。

資本構成の評価

負債と資本のバランスは中庸です。配当と自社株買いを織り込みつつ、外部調達に依存しない範囲で投資余力を確保しています。大型投資や追加M&Aにも備えた手元資金水準と評価します。

キャッシュフローと運転資本

キャッシュフロー

2024年の営業CFは146億円、投資CFはマイナス60.5億円、財務CFはマイナス24.4億円で、フリーCFは85.5億円です。営業CFマージンは16.1%と安定し、期末現金等は280億円まで増加しました。2025年1Qは営業CF11.1億円、投資CFマイナス6.3億円、財務CFマイナス30.4億円、フリーCF4.9億円、期末現金等242.6億円です。

CFの分解

営業CFの増加は収益性改善と運転資本管理の寄与です。投資CFは主に有形固定資産や研究開発関係への支出で、2024年の設備投資は63.6億円でした。財務CFは借入返済と配当支払いが中心でマイナスとなりました。営業CFが投資と還元を十分に賄う自立的な構造です。

運転資本の効率性

四半期の出荷タイミングで在庫や債権は変動しますが、営業CFの積み上がりから見る限り回収と在庫調整は概ね良好です。追加投資局面でも運転資本の膨張はコントロール可能な範囲とみます。

フリーCFの将来像

2025年は上期の減速を織り込み、通期フリーCFはおおむね70億円前後を基本シナリオとします。営業利益の維持と設備投資の平準化を前提とした見立てです。

収益性と効率性

収益性

利益率の推移

営業利益率は2022年10.1%から2023年19.1%、2024年20.3%へ改善しました。2025年計画でも19%台の維持を見込みます。2024年の売上原価率は39%、販管費率は40.6%で、原価改善と費用規律の徹底が奏功しています。

資本効率

2024年のROE16.65%、ROA7.67%です。2025年計画はROE14.74%、ROA6.94%と若干の低下見込みですが、自己資本利益率は二桁を維持します。ROICは開示レンジの違いから算出を割愛しますが、実勢ベースでも資本効率は良好と評価します。

四半期の進捗

2025年上期は売上収益約407億円で通期計画941億円に対して進捗43.2%、営業利益57.2億円で31.6%、当期利益37.8億円で30.7%です。前年上期比で売上は4.7%減、営業利益34%減、当期利益42%減と減益で、2Qの需要減速とミックス悪化が示唆されます。

業界動向

業界動向

研究開発投資の拡大、半導体の先端化、電池やEVの品質評価需要、ライフサイエンスの探索効率化など、計測機器市場の構造的需要は堅調です。一方で半導体設備投資はマクロ環境やメモリ価格の波に連動し、四半期の振れは残ります。海外大手や国内同業との機能競争は厳しく、高付加価値化とアプリケーション提案力が差別化の鍵です。ソフトウエアと保守契約のバンドルでストック収益を伸ばせる点は中期の利益率を下支えします。

市場環境と競争

先端半導体と電池関連の再投資は中期で追い風です。短期は案件選別の強まりで受注の山谷が想定されますが、アプリケーション対応力での堅調な受注が見込めます。

業界平均との比較

営業利益率20%台、ROE二桁は業界上位水準で、資本効率も良好です。

事業リスク

事業リスク
  • 半導体投資サイクルの変動と為替の振れに伴う受注変動
  • のれん水準が大きいことによる減損リスク
  • 大型案件の計上時期に左右されやすい装置事業特性

財務リスクの定量評価

ネット有利子負債約336億円、ネットDEレシオ0.41倍、自己資本比率46.1%です。金利の逆風があっても耐性は十分で、のれんに対するモニタリングが主な管理ポイントです。

将来の成長

成長戦略

2025年は高収益を維持しつつ、上期の減速から下期の持ち直しが焦点です。電池関連とライフサイエンスは継続拡大が見込め、半導体先端領域の回復局面では大型需要が再開する可能性があります。ソフトウエアと保守のストック収益は積み上がり余地が大きいです。

中期計画の実現性

足元の費用規律と高付加価値機のミックス改善が続けば、営業利益率20%前後の維持は現実的です。選択的な投資と開発集中で資本効率の向上余地もあります。

新規投資の収益性

設備投資は年60億円台の平準化で、営業CFの範囲で十分に賄えます。R&D強化は差別化と単価向上につながる見立てです。

成長シナリオ

  • ベース 売上は横ばいから微増、利益率は高水準維持
  • 上振れ 半導体投資の再加速と高付加価値機の構成比上昇
  • 下振れ 設備投資の再遅延と価格競争の激化

まとめ

まとめ

私ならこうする

短期は押し目待ちで段階的に拾います。モメンタムは弱い一方、通期では高い利益率を維持できる見込みです。手元資金とCFが安定しているため、長期は保有継続で報われやすいと考えます。

投資推奨

  • 短期投資 10段階中6
  • 長期投資 10段階中7

投資判断の根拠

  • 2024年の営業利益率20%超で収益性が高い
  • 自己資本比率46%、ネットDEレシオ0.41倍と健全
  • 2025年計画は増収で利益水準を維持する現実的レンジ

リスク要因

  • 半導体投資の再減速や為替の逆風
  • のれん減損の発生

投資タイミング

  • 買い時 25日線近辺や900円台の押し目を想定します。9月16日時点の25日乖離はプラス10.85%でやや過熱のため、押し目待ちが合理的です。
  • 売り時 1000円接近や乖離拡大時に部分利確を検討します。上期進捗の鈍化が続く場合は機動的に見直します。

参考サイト


投資にはリスクが伴います。本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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