レーザーテック(6920)最新決算分析と投資判断(2025年4月更新版)

6920 レーザーテック 企業分析
6920 レーザーテック

企業概要

レーザーテック(証券コード:6920)は、半導体製造に欠かせない最先端の検査装置を開発・販売している日本企業です。特に注目されているのが、EUV(極端紫外線)リソグラフィに対応したマスク欠陥検査装置で、この分野では業界内で圧倒的な存在感を示しており、複数の調査機関から高いシェアを有していると評価されています。同社は、次世代半導体技術の進展とともに成長を続けており、台湾TSMCや韓国サムスンなどの大手半導体メーカーからの引き合いも強く、グローバルにおける存在感を高めています。

財務状況

財務状況

財務状況

2025年4月発表の第3四半期決算において、レーザーテックの財務基盤は一段と強化されています。

  • 総資産:2,993億円(前年比+10.35%)

  • 株主資本:1,759億円(前年比+19.11%)

  • 利益剰余金:1,746億円(前年比+19.22%)

  • 自己資本比率:55.8%

安定的に蓄積される利益は、新たな設備投資や研究開発に充当されており、今後の事業拡大を支える重要な原資となっています。有利子負債の水準は極めて低く、財務レバレッジの抑制がなされている点も評価できます。財務の健全性、自己資本の厚み、利益剰余金の積み増しという三拍子が揃った好財務体質と言えるでしょう。

キャッシュフローと運転資本

キャッシュフロー

キャッシュフロー

種別 金額 補足
営業キャッシュフロー +445.0億円 売上好調による利益の積み増し
投資キャッシュフロー -20.25億円 主に研究開発や設備増強への支出
財務キャッシュフロー -245.58億円 配当・自己株式取得等の株主還元

2025年3Q時点でのキャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュ創出力の強さが際立ちます。これにより、同社は積極的な設備投資を行いながらも、財務面での健全性を損なうことなく安定成長を実現しています。特筆すべきは、フリーキャッシュフローの黒字が長期間継続している点であり、これは株主還元と成長投資の両立を可能にしています。

収益性と効率性

収益性

収益性

指標 数値 補足
売上高 2,400億円 前年比 +12.4%
純利益 740億円 前年比 +25.2%
ROE 41.73% 自己資本利益率
ROA 24.72% 総資産利益率

収益性の高さは引き続き際立っており、ROE・ROAともに業界平均を大きく上回る水準にあります。2025年1-3月期の純利益は前年同期比+26.9%増の526.9億円であり、過去最高水準を更新中です。営業利益率は約40%と極めて高く、競争力のある製品群がもたらす利益の質も非常に良好です。

業界動向

業界動向

業界動向

半導体業界全体としては、生成AI、IoT、5G、自動運転などの成長分野がけん引役となっており、装置関連の需要も堅調です。

  • 生成AI市場:2024年500億ドル超 → 2028年まで年平均+30%成長予測

  • 自動運転市場:2030年までに800億ドル規模へ成長予測

これにより、EUV露光装置やその関連検査装置への需要が引き続き高まる見込みです。特に3nm/2nmプロセス以降でEUVは標準技術となるため、レーザーテックの装置導入が加速すると予測されます。長期的な産業構造の変化と技術革新が、同社の持続的成長を強力に後押ししています。

事業リスク

事業リスク

事業リスク

  • 半導体需要の波(サイクル)による業績変動:一時的な在庫調整や設備投資の先送りが影響する可能性。

  • 競合製品の技術革新や価格競争:海外勢との性能競争が加速。

  • 地政学リスク:米中摩擦やサプライチェーン分断による調達・販売への影響。

リスク要因は存在するものの、それらに備えた対応力も高く、事業の柔軟性と機動力を有している点は安心材料となります。

将来の成長

成長戦略

成長戦略

EUVマスク検査装置というニッチだが不可欠な分野での独占的地位により、レーザーテックは持続的な高成長が期待できます。加えて、AI半導体やパワー半導体分野への対応も進めており、将来的な製品ラインナップの多角化も視野に入れています。

今後の注目点:

  • 熊本県菊陽町での新工場建設(TSMC熊本との連携)および国内外での拠点拡張による生産能力強化

同社の中期経営計画では、グローバル売上高の比率をさらに高める方針が掲げられており、海外市場への浸透と新規領域開拓が鍵となりそうです。

まとめ

私ならこうする!

レーザーテックは、日本発の世界トップニッチ企業として、高収益かつ高成長を続けています。PERは2025年4月30日時点で16.2倍と、過去平均20.5倍・業界平均22倍と比較して割安感があり、調整局面での押し目買いを基本戦略とすべきです。成長性と財務の両面で文句なしの優良株であり、ポートフォリオの中核に据えるにふさわしい銘柄です。

投資推奨点数

投資期間 推奨点数(10点満点)
短期(1か月以内) 7 / 10
長期(1年以上) 9 / 10

投資判断の根拠

  • EUV関連装置での市場独占と需要増加

  • ROE 41.7%、営業利益率約40%の高収益体質

  • 営業キャッシュフロー黒字維持と安定財務

リスク要因

  • 半導体市場の景気循環リスク

  • 地政学リスクによる需給バランスの崩れ

投資タイミング

PERは過去平均を下回っており、割安感あり。12,500円〜13,000円付近は買い増しの好機と判断。今後の成長材料として、新製品リリースや設備投資発表が控えており、そのタイミングを狙った分散投資が有効です。


投資にはリスクが伴います。本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました